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日外会誌. 89(10): 1738-1743, 1988


症例報告

特異な走行を呈した総肺静脈還流異常症(上心臓型)の 1 例

島根医科大学 第1外科

長見 晴彦 , 山内 正信 , 原田 俊郎 , 岡田 圭司 , 中山 健吾 , 山田 公弥 , 中瀬 明

(昭和62年4月7日受付)

I.内容要旨
今回,我々は特異な走行を呈したDarling Ib型総肺静脈還流異常症(以下TAPVDと略す)を経験した.症例は5ヵ月男児で,左肺静脈は心後方を下降横走し右中下肺静脈,右上前肺静脈と合流して,また右上後肺静脈は単独でSVCに開口していた.これに対してGore-Texパッチを用い,internal conduitを作成して根治術を施行したが,術後2日目に低心拍出量症候群(以下LOSと略す)にて失つた.文献で調べた限りでは他の10例の報告を認めた.我々の症例も含め,特異な走行を呈したTAPVDの発生学,手術時問題点,予後について検討を加えた.

キーワード
総肺静脈還流異常症, Gore-Tex パッチ, 肺血管病変

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