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日外会誌. 89(10): 1686-1691, 1988
原著
ヒト膵全摘術前後における膵内分泌および成長ホルモン分泌動態
I.内容要旨膵全摘術による内因性膵ホルモン分泌欠如が成長ホルモン分泌に与える影響について検討した.健常対照群,膵全摘術を受けた患者の手術前および手術後に50gブドウ糖経口負荷試験および30gアルギニン経静脈負荷試験を行い,血糖,insulin,c-peptide(CPR),human growth hormone(HGH),glucagon(IRG)を測定した.膵全摘患者群は術前からすでにブドウ糖負荷試験において糖尿病型の血糖曲線を示す者が多く認められたが,術後さらに重症の糖尿病型の血糖曲線を示した.
アルギニン負荷試験における膵全摘患者群のinsulin,CPR,IRG分泌反応は対照群と比べ,術前からすでに低反応であつたが術後は無反応となり,内分泌学的にも膵の完全な欠落が認められた.
膵全摘患者群の成長ホルモン分泌反応は術前からすでに対照群と比べ,低反応であつたが,膵全摘術後はさらに術前と比べ,有意の低反応となつた.膵全摘術による膵内分泌機能の欠落すなわち糖尿病状態の悪化が成長ホルモン分泌反応に抑制的に作用したと考えられた.
また膵全摘術後の成長ホルモン基礎値とinsulin基礎値(外因性と考えられる)との間に有意の相関が認められ,膵全摘術後の成長ホルモン基礎分泌と血中insulin値と密接に関与することが示唆された.
キーワード
膵全摘術, 成長ホルモン, アルギニン負荷試験, insulin
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