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日外会誌. 89(6): 889-897, 1988


原著

肝門部胆管癌の尾状葉胆管枝への浸潤に関する CT の診断的意義

名古屋大学 医学部第1外科

梛野 正人 , 二村 雄次 , 早川 直和 , 神谷 順一 , 近藤 哲 , 塩野谷 恵彦

(昭和62年4月13日受付)

I.内容要旨
1983年5月から1987年3月までに当科で切除した肝・胆道・膵癌症例のうち,150~200mlという比較的大量の造影剤を投与してCTが施行されているものを対象に,CTにおける尾状葉胆管枝(以下,B1)の描出程度を検討した.その結果,1)胆道系に異常のない例ではCT上B1は同定できない.2)下部胆道閉塞による閉塞性黄疸例では,PTCDによる胆道減圧前にはCT上B1が同定できるものの,PTCD後ではほとんど同定しえなくなる.3)肝門部胆管癌ではPTCD後のCTにおいても25例中19例がCT上B1を同定でき,またこの19例中18例にB1への癌の浸潤が認められた.以上より,PTCD後のCTでB1が同定できるような肝門部胆管癌では,B1への癌の浸潤が高率にあると考えられ,尾状葉切除の必要性が示唆された.

キーワード
肝門部胆管癌, 尾状葉胆管枝, コンピューター断層撮影

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