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日外会誌. 89(4): 508-515, 1988


原著

消化器癌に高率に反応するモノクローナル抗体 KM10の作製とその性状

神戸大学 医学部第1外科 (主任教授:斎藤洋一)

石田 英文 , 大柳 治正 , 奥村 修一 , 斎藤 洋一

(昭和62年5月21日受付)

I.内容要旨
モノクローナル抗体(以下MoAbと略す) KM10は, ヒト胃癌細胞KMN45で免疫されたマウスの脾細胞と,マウスミエローマ細胞(X63-AgS-653) を融合したハイブリドーマより作製した.その反応性を免疫組織学的に検討すると,大腸癌では10例中10例(100%),胃癌では31例中26例(84%),膵臓癌では7例中5例(71%),Vater乳頭部癌では3例中3例(100%)陽性であった.しかし,肝癌に対してはほとんど反応がみられず(10例中1例陽性),正常組織も同様であった.次に,125Iで標識したKM10をMKN45を移植した担癌ヌードマウスに投与し,全身オートラジオグラフィー及び各臓器中の放射活性を測定し,癌組織への集積を調べると, KM10は高率に移植腫瘍に集積を示した.また,このKM10が認識する抗原を部分精製し,各種酵素や過ヨウ素酸処理による抗原活性の失活を検討すると,抗原決定基には,蛋白の関与が示唆された.更に, SDS-PAGE, Western Blottingにて解析を加えると, この抗原は分子量約24万の蛋白であると考えられた.また,癌細胞における抗原の局在について免疫電顕法を用いて検討すると,その抗原は細胞膜に局在していることが明らかとなった.

キーワード
モノクローナル抗体 KM10, ヒト胃癌細胞 MKN45

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