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日外会誌. 89(3): 458-463, 1988


症例報告

著明な骨形成を伴つた腎血管筋脂肪腫の1例

*) 岐阜大学 医学部第1外科
**) 岐阜大学 医学部臨床検査医学

尾関 豊*) , 松本 興治*) , 後藤 全宏*) , 林 勝知*) , 鬼束 惇義*) , 広瀬 光男*) , 下川 邦泰**)

(昭和62年3月4日受付)

I.内容要旨
著明な骨形成を伴つた腎血管筋脂肪腫の1例を報告する.
症例は61歳女.1ヵ月前より発熱をきたし,近医にて右下腹部に小児頭大の腫瘤を指摘された.超音波検査,CTにて右腎頭側を中心に著明な石灰化を認め,腎を取り囲む腫瘍およびそれに連なる右下腹部の腫瘍を認めた.脂肪成分は証明されなかつた.右腎を含め全腫瘍を摘出した.30×24×10cm,3,320g.腫瘍は腎門部にて腎と連続していた.組織学的に腎血管筋脂肪腫に相当する所見で,石灰化と思われた部位には骨組織を認めた.脂肪成分は少なかつた.本例にはbenign mesenchymomaの名称が適切と考えられた.
腎血管筋脂肪腫の術前診断には腫瘍内脂肪成分の証明が重要であるが,本腫瘍の特徴的な発育様式にも注目する必要がある.また,本腫瘍の骨形成はきわめてまれであるが,その診断上重要な所見と考えられた.

キーワード
腎血管筋脂肪腫, 骨形成

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