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日外会誌. 89(3): 376-380, 1988


原著

肝移植無肝期における血中アミノ酸の変動について

岐阜大学 医学部第1外科

鬼束 惇義 , 松波 英寿 , 千賀 省始 , 日野 晃紹 , 尾関 豊 , 林 勝知 , 広瀬 光男

(昭和62年3月27日受付)

I.内容要旨
特異な血中アミノ酸パターンを有する重症肝障害に対して肝移植を行う際,血中アミノ酸がどのような変動を示すのかは不明である.著者らは肝移植における無肝期のモデルとしてイヌにおいて門脈・下大静脈一上大静脈バイパス下に肝全摘を行い,肝摘出後4時間までの血中アミノ酸の変動を検討した.脾摘のみを施行したイヌをコントロールとした.
コントロール群では手術開始後漸次BCAA/AAA比は上昇し,Met,Gly,Alaは低下した.肝全摘を行つた群ではBCAA/AAA比は漸次低下し,BCAA以外のアミノ酸は上昇した.なかでもAlaは肝摘出後最も早い時期より著明な上昇を示した.Alaの上昇は肝全摘によりアラニンーグルコース・サイクルが欠如したために,代謝されず血中に蓄積された事が主な原因と考えられる.肝全摘時にはα-ケトグルタール酸が増加し,BCAAが減少することより肝全摘時における血中Alaの増加には,筋におけるAlaの生成も関与していると考えられた.

キーワード
肝移植, 肝全摘, アミノ酸

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