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日外会誌. 88(10): 1509-1512, 1987
症例報告
大腿動脈開存を伴なった遺残坐骨動脈瘤の1治験例
I.内容要旨坐骨動脈は胎生初期の下肢への主血行路であるが,発生段階の退化消長を経て,坐骨神経伴行動脈として名残をとどめているにすぎない. これまでの報告では,遺残坐骨動脈の症例では大腿動脈は低形成を示し,その膝窩動脈への開存例は極めて稀なものである.われわれは72歳女性の坐骨動脈瘤に,大腿動脈の膝窩動脈開存例を治験した.坐骨動脈遮断前後の足背動脈圧は156/77(97)mmHgから117/72(91)mmHgに減少したが,血行再建術の必要なく動脈瘤を切除した.術後下肢血行障害なく順調な経過で回復した.なお,坐骨動脈の流速は大腿動脈のそれに比較すると極めて遅延しているのが特徴的であった.また太く発達した遺残坐骨静脈も認められたが,対側脚には遺残坐骨動脈は認めず正常な動脈分布であった.
キーワード
遺残坐骨動脈, 遺残坐骨動脈瘤, 遺残坐骨静脈
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