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日外会誌. 88(7): 808-815, 1987


原著

低分子ペプチドを窒素源としたエレメンタルダイエットの基礎的検討

千葉大学 医学部外科学第1講座 (主任:奥井勝二教授)

堀部 和夫

(昭和61年10月8日受付)

I.内容要旨
腸管における蛋白の消化吸収は蛋白が一旦, 遊離アミノ酸まで消化されてから吸収されるとの考えから, これまでの多くのエレメンタルダイエット (elemental diet, ED) の窒素源としてはL型結晶アミノ酸が配合されている. しかし, 最近の研究によれば, 遊離アミノ酸よりもその2量体, 3量体であるヂないしトリペプチドの方が吸収速度および, そのバランスともに優れているとされている.
この観点からヂ, およびトリペプチドを主成分とする低分子ペプチド (small peptide, SP) を窒素源としたEDを作成し, 成犬のThiry-Vella loopを用いて結晶アミノ酸および平均分子量1,500のラージペプチド (large peptide, LP) をそれぞれ窒素源としたEDの間で吸収比較実験をおこなつた.
その結果, (1) それぞれの窒素源単体での窒素吸収率の比較では, SPが浸透圧の有無にかかわらず高かつた. (2) 3種のEDでの吸収比較では, 窒素吸収率, 糖質吸収率ともにSPを窒素源とするEDがもつとも高かつた.
以上の結果はSPは,EDのすぐれた蛋白源となりうることを示している.

キーワード
低分子ペプチド, エレメンタルダイエット, Thiry-Vella loop

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