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日外会誌. 88(5): 543-550, 1987
原著
大腸癌における糞便中 CA19-9測定の意義
I.内容要旨悪性疾患119例,良性疾患78例,正常人36例に対して糞便中CA19-9を測定し,その中で特に大腸癌38例について検討を加えた.
糞便中CA19-9の測定は,糞便1gをpH 7.8の0.05M リン酸緩衝液10mlで溶解後5,000rpmで60分間遠心し,その上清を測定した.また比較のため血清CA19-9を常法で測定した.糞便中CA19-9の正常値は276.4±643.3U/ml (Mean±2SD)でCut off値を1,000U/mlとした.
悪性疾患及び良性疾患の糞便中CA19-9の陽性率は各々44.5%,1.3%で,中でも大腸癌の陽性率は68%と最も高く,大腸癌に対して血清CEA,血清CA19-9,糞便中CA19-9の陽性率を比較検討した.
大腸癌における血清CEA,血清CA19-9の陽性率は,各々34%, 47%と糞便中CA19-9より低値だった.これをStage別に見ると,血清CEA,血清CA19-9は,Stage 3以上で,各々11/19(58%), 14/19(74%)の陽性率を示すのに対して,糞便中CA19-9はStage 2以上で25/30(83%)の陽性率を示した.糞便中CA19-9のStage決定因子を見ると,壁深達度, リンパ節転移度と関連した.さらに静脈及びリンパ管侵襲度とも関連したが,腫瘍面積,組織型,占拠部位とは関連しなかつた.特にリンパ節転移度に関しては糞便中CA19-9が4,000U/ml以上だと83%の確率でリンパ節転移陽性が認められた.
以上大腸癌において,糞便中CA19-9の測定は早期診断,手術術式を決定する上で重要と思われた.
キーワード
大腸癌, 血清CEA, 血清CA19-9, 糞便中CA19-9, プロゾーン現象
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