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日外会誌. 88(4): 483-488, 1987
症例報告
長期高カロリー輸液中に心筋症を来したセレン欠乏症の 1 例
I.内容要旨28歳,男性でCrohn病の為に約5年半の高カロリー輸液(IVH)施行中の患者に鬱血性心筋症が併発した.心悸亢進,前胸部痛の症状,ECG上の低電位,R波の減高,不整脈の頻発等の所見,及び胸部X線写真の心陰影の拡大は進行性であり,従来の治療薬は無効であった.血漿セレン濃度62μg/l(参考値:86~150),赤血球セレン濃度93μg/l(100~194),赤血球glutathione peroxidase(GSHPx)活性5.4U/gHb(25.3~45.3)であった為,IVH液への亜セレン酸100μg/dayの混入により症状の消失,不整脈の消失を見た.同時に血漿セレン濃度96μg/l,赤血球セレソ濃度136μg/l,赤血球GSHPx活性23.5U/gHbと改善された.本症例の心筋症はセレン欠乏に依るものと確診した.IVH中のセレン欠乏の特徴について文献的考察も行つた.
キーワード
セレン欠乏, 静脈栄養, 心筋症
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